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「お前みたいなガキに欲情する程困ってねぇし。
この体に欲情する奴がいたらとんだ変態だな。」
土方の顔は見えないけど,鼻で笑われた辺り,人の上でふんぞり返ってるんだろうと三津は思った。
「もういいでしょ?降りて下さい。」
「じゃあ一つ条件がある。」https://www.easycorp.com.hk/zh/secretary
偉そうにと思ったが,解放されるには聞くしかない。
「死のうとするな。」
「何で…今のこの状態でそれなんですか。
こんな時にこんな格好なのに。」
刀一つで人の命を奪う人に言われたくない。
「人を死に追いやる規則作った人が言う台詞ですか?」
無性に腹が立つ。
勝手な事して勝手な事言って。
人の過去にまで踏み込んで来た。
どうしてそっとしておいてくれないんだろう。
「生きてたら出来る事もあるって人に説教垂れといて,言った本人が死にたがってるのも可笑しな話だと思わねぇか?」
それはずっと前の事じゃないか。今は自ら進んで死のうなんてしてない。
昔の話を持ち出すなんてズルい。
「笑いたかったら笑って下さいよ。
阿呆やって言えばいい。それでも私には新ちゃんだけやったんやもん。」
大袈裟じゃない。彼が全て。
代わりなんかいない。
彼が囁いてくれた言葉を,他の誰かが囁いたって嬉しくない。
彼以外の腕に抱かれたって靡かない。
彼の温もりじゃなきゃドキドキしない。
「笑わねぇよ。そこまでして守りたかったんだろ?立派なこった。」
意外な言葉が返ってきて三津は目を見開いた。
「俺らも似た様なもんだ。命を懸けてでも守りたいモンがある。
どんなに蔑まれても,貫きたいモンがある。
その為にはあの規則は必要だ。俺は命も奪うが,預かってる命もある。」
傷に触れた手が三津の肩から腕へと滑る。「似たようなモン……ですか?」
まさか共感を得られるなんて思っても見なかった。
「似てると思わねえか?
誰かの為に尽くす。正しいと思う事を突き通す。
だからお前は斬られた。法度を決めた俺にも噛みついた。
だが俺にも信念がある。それが譲れないから力で制する。
やり方がちょっと違うだけだ。」
本当にちょっとなのか?と疑問には思うが今日の土方はよく喋る。
考える隙も与えてくれない。
「俺が預かってる命の中にはお前も入ってる。
どんな危険な目に遭っても俺がついてりゃ心配いらねぇ。だから離れるな。」
顔が見えてないから言える言葉もあるもんだ。
きっと三津は耳まで赤くして照れる。そう思った。
「何で手を握りますかね?」
肩から腕を辿って重なり合った手。三津は絡められた指を落ち着きなく動かした。
『こんにゃろう……。
俺がこんなにも真剣に口説いてるっつうのに。』
「雰囲気壊す事言うんじゃねぇよ。漸く分かり合おうとしてんじゃねぇか。
分かり合ったらもっと仲を深めるべきだろ。」
土方の体重が満遍なくのしかかる。馬乗りじゃなくて覆い被さっているのに気付いた。
「私なんかに欲情しぃひんって言ったやないですかっ!」
「欲情なんかしてねぇよ。躾だ躾!
この傷を負うぐらいの覚悟があるなら,今度は俺の為に尽くすように躾てやる。
俺の為なら何だってするって思うようにな。」
「なっ!」
抗議の声を上げる前に,三津は脳が痺れるのを感じた。
耳元で息遣いは感じていた。すぐそこに顔があるのも分かっていた。
それでも耳たぶを噛まれるなんて予想もしてなかった。
「やっ!」
やっと希望通りの反応が見れた。こうなると調子が上がってくる。
「これぐらいで悦ぶなよ。」
「違っ!」
反論しようとすれば,土方は次の一手を打ってくる。
鼻の頭で首筋をなぞって,触れるだけの口付けを落としていく。
飲み込まれそうになるのを身を堅くして堪える。
「女の癖にこんな立派な証を持ちやがって。」
「証?」
自分でこの痕を見ておいて,新平に嫉妬心を抱いた。
「これは自らを犠牲にして守ろうとしたモノがあった証だろうが。
三津,お前が命を犠牲にする事を許せないならお前が愛した男はどうなる。
そいつはお前を守る為の犠牲を自分の命にしたんだぞ。」